アリババ アマゾン 比較


アリババの上場に関する話題はほかでも取り上げられているので、ここでは、アリババと楽天の「稼ぎ方」の違いに注目したい。 アリババ・グループの2013年の取扱総額は25兆円ある。これに対してアマゾンは約7.5兆円、楽天は約1.7兆円しかない。 アマゾンとアリババは、世界で最も強力な企業の2つです。両社は、数兆ドル規模のグローバルeコマース(電子商取引)市場を支配しており、他の多くの有力な産業分野へも急速に拡大しています。その成長過程で、両社は投資家のために途方もない富を生み出しました。

アリババとライバルのアマゾンを比較してみましょう。 アマゾンの2019年12月期の売上高は2805億ドル(30兆8550億円)なので、アリババの約5倍です。 新型コロナウイルスの感染拡大が世界各国で深刻化している中で、その震源地であった中国湖北省武漢市は4月8日、1月23日から実施していた事実上の封鎖措置を解除しました。 アメリカなどでは中国が初期の段階で透明性のある迅速な対応を取らなかったことに批判を強めています。私個人としても、同国が明白に十分な説明責任を果たしていない中で、感染拡大を早期に収束させたことを誇示するような態度を示していることなどについては遺憾に思っています。 一方で、中国の対応に目覚ましいものがあったことも事実でしょう。思い切った隔離政策が取られたことは周知のとおりですが、ここでも「中国らしい」監視的な最先端テクノロジーが活躍しました。 例えば、北京では、電車内での感染拡大を防ぐために地下鉄を予約制にしました。予約客はスマホでQRコードを見せて、改札を通ります。また上海では、オフィスビルに入る際に「健康証明」が求められるようになりました。同地では、その人の感染リスクを緑、黄、赤の3段階で表示する、というアプリが活用されています。感染リスクの判断には、アプリを通じて収集された移動履歴や家族関係などのデータが使われています。 さらに中国のメガテック企業は、コロナショックを最先端のデジタルテクノロジーの社会実装の機会へと転じようとしています。その代表格が、アリババです。アリババは、新型コロナウイルス対策として、AI診断システムの開発やアリババクラウドによる医療専門家コミュニケーション・プラットフォーム(特設サイト)の構築など、さまざまな取り組みを積極的に実施しています。 本稿では、そうしたアリババの取り組みの背景にある、同社の強みや特徴、その根底にあるミッションなどについて考察していきます。 拙著『経営戦略4.0図鑑』でも詳しく解説していますが、アリババは、一言で言えば、Eコマースの会社です。2019年3月期の売上高は、538億ドル(1ドル=7人民元で換算。以下同)でした。日本円にすると、5兆9180億円です。そのうち、アリババが「コアコマース」と呼ぶ、オンライン上のEコマースでの売上高は462億ドル(5兆820億円)なので、全体に占めるEコマースの売上高は86%です。 アリババとライバルのアマゾンを比較してみましょう。アマゾンの2019年12月期の売上高は2805億ドル(30兆8550億円)なので、アリババの約5倍です。そのうち、アマゾン直販のオンラインストアと、第三者が販売する「マーケットプレイス」を足した売上高は1950億ドル(21兆4500億円)で、やはりEコマースでもアリババより5倍近い売り上げであることがわかります。 この数字だけをみるとアマゾンの圧勝のようですが、別の基準でみるとアリババの巨大さが浮かび上がってきます。その基準とは、「流通取引総額」です。流通取引総額とは、ユーザーに購入される商品やサービスの販売総額を示す数字で、Eコマースというプラットフォーム上で発生しているエコシステムの規模を表しています。 とくにマーケットプレイス型のEコマースやフリマアプリを運営する企業においては、市場の規模を測定する重要な指標とされています(海外企業の決算資料では「GMV(グロス・マーチャンダイズ・ボリューム)」と表記されます)。アリババの中国国内における2019年3月期の流通取引総額は、個人向けだけでなんと8530億ドル(93兆8300億円)でした。 一方のアマゾンはデータを公表していないので、マーケットプレイスの流通取引総額を売上高から推計すると、5380億ドル(59兆1800億円)になります。この数字にオンラインストア分(=売上高)を加えると6792億ドル(74兆7120億円)になります。したがって、流通取引総額においては、完全にアリババがアマゾンを上回っているわけです。 アマゾンのEコマースは、直販型が主体です。アリババは、マーケットプレイス型と業態が多少異なるものの、アリババの流通取引総額は世界的にみて突出した規模の大きさです。 日本国内最大のEコマース企業である楽天は、マーケットプレイスが主体のアリババに近い業態となっていますが、2019年度12月期の国内における流通取引総額は3兆9000億円でした。この額には、「楽天市場」に加え、トラベル、ブックス、チケット、デリバリー、ラクマほか、Eコマース上のすべてのサービスが含まれています。アリババの20分の1以下の数字にすぎないことを考えると、改めて、アリババの巨大さに驚かされます。 アリババの創設は、1999年にさかのぼります。創業者のジャック・マー氏が最初に始めたビジネスは「BtoB」(=企業間取引)のEコマースである「アリババドットコム」です。アリババが成功したのは、中国市場でいち早くEコマース事業を立ち上げた「先発優位」にあったからだと思われがちですが、実はそうではありません。 「先発優位」というのは、新しい市場に早期に参入して得られる“先行者メリット”です。アリババドットコムが始まったときには、すでにほかのBtoBのEコマースが稼働しており、先発優位にはなかったのです。また、アリババを設立したばかりのジャック・マー氏には、これといった企業家としての実績もなく、とくに注目されていた存在でもありませんでした。 そんな状況の中、マー氏は、アリババドットコムの手数料を無料にすることで、ユーザーの獲得を狙ったのです。マーケットプレイス型のEコマースは、取引が成立したときに手数料を徴収するか、もしくはEコマースを利用するために会員となる際の会費によって収益を上げるというモデルが一般的です。当初のアリババドットコムは、そうした手数料をすべて無料にしたのです。 「手数料無料」の施策のインパクトは非常に大きく、アリババドットコムに登録する企業はどんどん増えていきました。2001年末には、登録企業の数が100万社を超えるほどにまで膨れ上がります。ただし、手数料が無料なので、当然、ユーザーが増えてもアリババドットコムの収益は上がりません。むしろ、サーバーの維持にかかる経費などが増大してしまいます。 こうして、マー氏がアリババ設立時に用意していた資金はあっという間に底をつき、投資家が出資してくれた資金によってなんとか運営する状態がしばらく続いたのです。 そこで、マー氏が次に導入したのが、有料会員制度です。無料会員を残しつつ、Eコマースでマーケティングの支援などが受けられる有料会員を設けることで、収益化を図ったのです。有料といっても、ほかのEコマースより割安な料金だったため、無料会員から有料会員に転じるユーザーは増えていきました。この時点で、ようやくアリババの収益モデルが確立したのです。 アリババが企業として大きく飛躍したのは、2003年7月にスタートした「タオバオ(淘宝網)」です。これは「CtoC」(=個人間取引)のEコマースです。タオバオがスタートしたときも、すでに競合は存在していました。それが、アメリカの「イーベイ(eBay)」です。イーベイとは、アマゾンと同時期の1995年9月に創業した企業で、当時、CtoCのマーケットプレイス型のEコマース企業としては世界最大でした。イーベイが2002年に中国に進出し、市場を独占していたのです。 では、またもや後発になってしまったアリババは、いったいどんな手を打ったのか? アリババドットコムと同じく、またもやユーザーの手数料を無料にしてしまいました。無料にするための原資は、それまでにアリババドットコムで得た利益でした。この手数料無料は大当たりし、イーベイのユーザーを短期間で奪うことになったのです。 さらにアリババは、銀行と協力して開発した、オンライン上の決済サービス「アリペイ(支付宝)」を導入します。これは、タオバオで取引が行われる際、購入側の資金をいったんアリペイが預かり、取引が成立すれば、出品側にアリペイから代金が支払われるという仕組みです。もし、購入した商品にトラブルがあった場合は、アリペイから購入側に商品代金が返金されます。 中国では、銀行に口座を持っている人の数はそれほど多くなく、クレジットカードを持っている人も限られていたため、ネットショッピングの際に、簡単かつ安全に利用できるアリペイは爆発的に広がりました。マー氏は、このアリペイの利用料もなんと無料にしてしまうのです。 その結果、CtoCのEコマースでトップシェアを握っていたイーベイは、ユーザー数をどんどん減らしていき、2006年12月、ついに中国のサイトの閉鎖に追い込まれます。一方、タオバオは順調に拡大し、2010年7月末には登録ユーザー数が2億人を超え、Eコマースとしては世界で最もユーザー数の多いサービスとなりました。 タオバオの収益モデルは、アリババドットコムと似ています。ユーザーの取引手数料や登録料は無料ですが、出品する側に対して、アクセス解析ソフトや受注管理ソフトといったマーケティング支援ツールを有料にしました。また、広告の掲載についても有料としました。そして、この広告費が収益の柱となったのです。 つまり、タオバオは、Eコマースの通常の収益源である取引手数料や出品者の登録料などを無料にし、代わりに一部のユーザーからの広告費によって収益化するという独自のモデルを構築したのです。そして、2008年には、初の「BtoC」(=企業の個人向け取引)のEコマースとなる「Tモール(天猫)」をスタートさせます。 すでに、アリババは、タオバオの成功で中国最大のEコマース企業に成長していました。その段階でBtoCのEコマースを設立した背景には、中国国内の非正規品(ニセモノ)の流通という問題がありました。タオバオは、出品者にとっては無料で利用できるため、非正規品を出品するケースが生じていたのです。そのため、出品者の審査を厳格化し、信頼度の高い出品者のみが出店できるBtoCのTモールを開始したのです。 当初は、タオバオによって大きな売り上げを得た出品者が「企業」となり、出店するケースがほとんどでした。アリババにとってみれば、実績のある出品者に出店してもらえることに加え、収益の改善にも役立ちました。なぜなら、Tモールで販売手数料や登録料を徴収したからです。タオバオでは無料にしていたアリペイの手数料も有料にしました。 出品者にも、メリットがあります。厳しい審査にパスをしたということで、ショップの信用度がさらに上がるからです。現在では、Tモールに出店すること自体がステータスにもなっているほどです。 アリババは、Tモールに至って、ようやく通常のEコマースの収益モデルを採用したことになります。この時点では、すでに中国の消費市場においてネットショッピングが定着し、消費者の購買力も大きなものとなっていました(日本で中国人観光客の「爆買い」が話題になり始めたのもこの頃です)。本物を安心して買えるアリババのTモールは、購入者と出品者の両方のニーズをつかんだことで、急成長を遂げることになります。 アリババが展開しているEコマースは、BtoBのアリババドットコム、CtoCのタオバオ、BtoCのTモールなどさまざまですが、いずれもアマゾンのような直販型ではなく、第三者が販売するマーケットプレイス型になっています。マーケットプレイスを事業の主体としている背景には、アリババのミッションがあります。それは、「社会的問題をインフラで解決する」と「中小企業や消費者を支援する」です。 中小企業や個人経営者の事業を支援する社会的なインフラとして、Eコマースを構築しているのです。決済サービスとしてのアリペイも、銀行口座やクレジットカードを保有していない人が多いという、社会的な課題に応えたものといえます。そうしたアリババのミッションが反映された、最近のわかりやすい事例があります。それは、2017年から始まった「天猫小店」です。アリババのリアル店舗におけるプロジェクトで、家族経営のような零細小売店を“デジタル化”するという試みです。 具体的には、零細小売店に対して、Eコマースを中心としたネットインフラや物流システム、店舗が存在している地域の消費動向データなどを提供します。世界中で起きていることですが、零細小売店はどんどん淘汰されています。過去には大型スーパーやコンビニの台頭、そして、現在ではEコマースによって、廃業に追い込まれた店舗は数知れません。中国には600万を超える零細小売店があり、そうした店舗の店主の80%は、45歳以上といわれています。 アリババは、中国で廃業する店舗が続出する前に零細小売店をデジタル化し、実質的にフランチャイズチェーン化することで存続させようとしているのです。同時に、天猫小店の拡大は、アリババがこれまで手薄だった地方の小都市の消費データの入手にもつながります。これまで、ほかの企業もなかなか手が届かなかったデータが蓄積されることで、中国全土を経済圏とすることに寄与するでしょう。 実は、天猫小店よりも前から、アリババのリアル店舗の事業はスタートしていました。それが、2016年に第1号店が上海市にオープンした「フーマー・フレッシュ(盒馬鮮生)」です。北京市や深圳(しんせん)市ほか中国各地に150店舗を展開しています。 フーマー・フレッシュは、生鮮食品を主体としたスーパーで、リアル店舗ですから店頭で実際に購入できます。加えて、スマートフォンから商品を注文して宅配をしてもらうことも可能です。店舗から3km圏内であれば、30分以内に無料で届けてもらえます。店頭で実際に食品をみて(あるいは触って)確かめたものを宅配してもらってもよいですし、店舗に出向かなくても自宅から注文もできます。 フーマー・フレッシュは、ネット上のオンラインとリアルのオフラインを融合させた、いわゆる「OMO(Online Merges with Offline」の店舗となっています(「merges with」とは併合するという意味です)。 フーマー・フレッシュの店内では、あらゆる商品にQRコードが貼られています。水槽の中を泳いでいる生きた魚にまで付いているほどです。スマートフォンでQRコードを読み取ると、値段だけでなく、産地や流通経路などもわかります。アリペイで購入すると、スマートフォンのアプリを通じて来店履歴や購入履歴が、アリババに蓄積されていくという仕組みができあがっているのです。 2019年11月には、さらなる新しい実験として、「フーマーリー(盒馬里)」という総合ショッピングモールを深圳市にオープンしました。ユーザーは、ショッピングモール内に入店する約60店舗の商品を、フーマーリーのアプリで注文することが可能です。マー氏は、オンラインとオフラインが融合したOMOについて、「ニューリテール(新小売り)」と表現しています。 今後10~20年程度でオンラインのビジネスは消え、その代わりに台頭するのがニューリテールであると、マー氏は述べています。“アリババ経済圏”においては、あらゆる商品やサービスでニューリテールが実現することになるのは間違いないでしょう。 ニューリテールを消費に関わる構想とするなら、製造に関しては「ニューマニュファクチャリング」という構想を打ち出しています。 この構想について、マー氏は、「例えば5分間で同じ種類の2000着の衣類を製造するよりも、5分間で2000種類の衣類を製造することがより重要視される時代がやってくる」と説明しています。そして、大量生産によるスケールメリットを生かしてコストを削減してきた伝統的な製造業は、今後15~20年で苦境に立たされ、消費者の個性に対応した新しい製造業として「ニューマニュファクチャリング」が誕生する、という見通しを述べているのです。 一人ひとりのユーザーのニーズに応じて、1つからでも製品をつくるということは、あらゆる既製品がオーダーメイドの製品になるわけで、ニューマニュファクチャリングとは、もはや製造業というよりサービス業に近いといえます。すぐに実現することはないでしょうが、アリババが持つ膨大な消費者のビッグデータと、そのデータを解析するAI技術をもってすれば、個別のニーズを高い精度で把握し、“一点モノ”を製造して提供することは夢ではないでしょう。 以上、アリババの強みや特徴についてまとめてきました。アリババは、単なる小売りやEコマースの会社ではありません。Eコマース事業などを通して収集する膨大な消費者のビッグデータとそれを解析するAI技術、これこそがアリババの最大の武器であり、財産です。 事業領域はそこからクラウド、物流、金融、メディア、コンテンツなどへ多方面に広がっています。そして、その根底にあるのが、「社会的問題をインフラで解決する」というミッションです。まさにアリババは、中国の新たな社会インフラ企業である、と言ってもよいのです。 アリババは、新型コロナウイルス対策に際してもテクノロジーを利活用することによって、混雑解消、建物への出入りや移動の管理、公共エリアの環境の管理や監視などのソリューションを提供しています。そこで利活用されているのがQRコード、AI、画像認識、ロボットなどといった、アリババが社会実装を進めてきたテクノロジーです。 また、冒頭で述べたAI診断システムや特設サイトのほかにも、テレワーク支援、クラウド利用枠の無償提供、浙江大学医学院付属第一病院などと協力した多言語対応の『新型コロナウイルス感染症対策ハンドブック』の無料公開などの取り組みも行っています。 新型コロナウイルス対策でのテクノロジーの社会実装の促進をきっかけにして、アリババは、強みを生かしながら、中国の社会インフラ企業としてのさらに大きな役目を担うに至っています。筆者としては価値観的に「中国式デジタル資本主義」を首肯する気持ちにはなれませんが、日本や日本企業がその動向を注目していくことはさらに重要になってくるものであると考えています。Facebook で「いいね」を押すと、似たようなストーリーをご覧いただけますサイトの全体的な評価をお聞かせください:

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